ECU FLASH
2018.01.29
近年のバイクは、ほとんどの車両が電子制御のインジェクション仕様となり、
ECU=エンジンコントロールユニットによって、燃料の量、点火のタイミング、
使用する国に応じたリミッターなどが設定されています。
これまで、マフラー交換などで燃料や点火の調整をしたいとき、
パワーコマンダーをはじめとするサブコンが主体でした。
ECUが出す命令を補正するセッティングです。
車体にはカプラーオンで取り付けができ、ソフトの取り扱いも簡単で非常に便利でしたが、
グローバル化に伴う排ガスや音量の規制の他、電子制御のスロットルバルブが追加されることで、
サブコンによる補正だけでは対応できないセッティングや設定、リミッターもでてきました。
サブコンの補正で対応できないECU本体のセッティングや設定は、
ECUの設定そのものを変更=書き換えないと対応できません。
書き換えという手法は、サブコンで十分対応できていたため最近まではあまり広まりを見せませんでした。
しかし書き換えのメリットが高まりと、
4輪の技術を応用たECUチューニングメーカーの努力によってソフトやデバイスが開発が進み、
今では一般レベルでもだいぶ使いやすいものが販売されるようになってきました。
今回は、ドクター須田での初の書き換え作業を 国内仕様のGSXR1000Rのスピードリミッターカット で、
勉強しながらのご紹介をしたいと思います。
今回使用するキットは、
FTECU(エフティー イーシーユー)という海外のECUチューニングメーカーのキットを使用します。
日本ではLIRICAさんが輸入元となっています。
キットは以下の2種類あります。
データーリンクECUフラッシングキット
通信用のUSBケーブルと車体側に取り付けるハーネスのセット。こちらが基本のセットとなります。
車両に取り付けたハーネスに通信用USBケーブルとパソコンを接続して作業を行います。
ベンチECUフラッシングキット
こちらのキットは、車体からECU単体を取り外して机上での書き換えも行いたいときに選択します。
データリンクECUフラッシングキットにプラスして、
ECU単体で作業するためのECUと接続するカプラーと電源(ACアダプター)が付属します。
グローバルなコンセントアタッチメントが付いています。
このキットは、あくまでもレース用であり、
使用するときは、すべて自己責任となりますのでご理解ください。
まずはSTDの確認です。
国内仕様のスピードリミッターの作動状況をシャーシダイナモで確認します。
グラフは、150km/hほどがピークとなり180km/hへ向かってパワーが落ちてからリミッターが作動しています。
180km/hのスピードリミッターは作動状況からおそらく点火カットによるものですね。
使用しているギヤの特定の回転数になると点火カット(REVリミッター作動)をしています。
アクセル全開からいきなり点火カットをせず、180km/hの手前からスロットルを絞っていき、
エンジンが吹け切ったようにパワーを落としてリミッターを利かせています。
国内限定の仕様とは言え拘った制御をしています。
各ギヤとも180km/hに合わせてREVリミッターの回転数と
ETV(ライドバイワイヤーと呼ばれる電子制御スロットル)開度を設定しているようですね。
速度リミッターの解除のための作業に入ります。
まずは、PCとECUを接続するための準備、
FTECUのキットに付属しているバイクサイドハーネスを取り付けます。
このハーネスを車体に取り付けると、ここにPCを接続して書き換え作業を行えるようになります。
GSXR1000Rでは、ECUのカプラーを外し、カプラーの指定のピンに指定の色のハーネスを挿入します。
カプラーの空いているピン(グレーのメクラ部分)への挿入となっていますので、
配線を切るような加工はありません。
取り扱い説明書にカプラーの取り扱いと挿入する場所と配線色の図が判りやすく書かれています。
(ECUを車体から取り外して、
ベンチキットで机上でのみ書き換えするという場合は、ハーネスを取り付ける必要はありません)
今回は、ここまで。
次回は、実際にマップを読み込んでリミッターの確認をしていきます。
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