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制作日誌

Kawasaki Ninja250R IPTOS ST-2

オートバイ誌MAXZONE 最高速チャレンジ

2010.07.02


【①開催前のチューン&セッティング】

今回で第4回目のトライとなった

001.jpgオートバイ誌/最高速チャレンジ。
初回チャレンジでマークした175km記録更新のため、
開催間際まで様々なトライを重ねてきました。


セットアップやエンジンモディファイにより、
ノーマル比で+10ps以上、初回チャレンジの仕様から、
さらに約5psアップの後輪38ps弱になりました。
パワーアップに伴い、ピーク発生回転は約12,500rpm
と高回転へシフトしましたが、中回転域についても加速
が途切れないよう十分なパワーアップができました。

 

 

今回の目標は一応180kmの大台をマークすること。002.jpg
5psアップ=単純に5kmという訳ではありませんが、
馬力的に考えて250ccツインとしてひとつの壁
になるのは間違いありません。
過去、レプリカタイプの4st250ccマルチエンジンでは、
チューン&うまくセットアップすれば200kmの大台を
超えられたこともありましたが、
ツインとなると話しが変わってきます。

 

 

 

 

 

 

 

【②開催前のセットアップに悩む】

エンジンパワーと同時に、標高の高いFSWでの003.jpg
セットアップには独自のノウハウが必要です。
ダイノ上で最もパワーの出るポイントと、実走での
速さに差異があるように、平地でベストの空燃費の
ままでは、FSWではパワーの割に回りきらない
場合も少なくありません。

マシンにもよりますが、
通常、ツインやマルチエンジンは
空燃費的には12,5〜13,0前後が最もパワーが
出ることが多い傾向にあります。
パワーの数値だけを求めるなら、ダイノ上では
少しだけ薄めの方がピーク以降が落ち込まず、
数値的にも高いアウトプットを示します。

 


しかし、実走行でもパンチがあるのはダイノ上では004.jpg
やや濃いめの、ピーク以降が尐しだけ落ち込むような
ポイントがひとつの目安になりそうです。
但し、一部のマシンではやや薄めの方が実際の
FSWでは回りきるマシンも存在しているおり、
Ninja250の場合も、前回のトライではダイノ上で
比較的薄めのセットで速度が出ていました。

また、ファイナルについても一向の余地ありです。
カムやマフラーの特性にもよりますが、パワーアップ
した分、さらにロングに変更するか?或いは前回の
ファイナルのまま高回転域まで伸ばしきるか・・・?



無論、最終コーナーの脱出にもよりますが、
加速力を005.jpgあまりにも殺してしまうようなロングな設定は
絶対的トルクの小さい250ccでは裏目に出そうな感じ
です。

現状ファイナルではトップギアでレブリミットまで回すと
ダイノ上で190kmオーバーとかなりのロングです。
この2点が大きな課題でしたが果たして結果は如何
に?!

 

 

 

 

【③開催当日:準備】

現地の天気は快晴とはいかず、どんよりとした

006.jpg曇り空の中、トライとなりました。
雨にならなかったのは幸いですが、
気温はまだしも湿気がかなり多いセッティングに
悩まされそうな気象条件でした。
懸念されていた空燃費とファイナルですが、
先ず空燃費については、薄いままのセットで
トライすることにしました。
万が一パンチが足りないようであれば、
少し濃い方向に振っていく予定です。
またファイナルについては、これ以上ロングでも
伸び切らないことを考慮し、前回同様のままで
トライすることにしました。

 

 

 

 

【④開催当日:いざトライ!その1】

007.jpgライダーの大石選手がコースイン、
初めてのマシンということで最初の2〜3周は
マシンと体を慣らしながらの走行となりました。

回転の伸びは良く、各ギアとも13,000rpm強で
シフトしていきましたが、あまりひっぱり過ぎると
6速ギアに入るのが、かなりストレート後半に
なってしまうようです。
速度は前回同様の175kmはすんなりマーク
できるものの、そこからが伸びません。

 

 

 

 

 

【⑤開催当日:いざトライ!その2】

少しオーバークール気味ということで一度ピットイン。008.jpg
ガムテープで少しだけラジエーターを塞ぎます。
ところがこれが裏目に出てしまい、速度は落ちる一方。
すぐに再ピットインに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【⑥開催当日:いざトライ!その3】

ガムテープを剥がし、
今度は少しだけ濃いめのセットで009.jpgトライしてみました。
気温もやや低いためこちらのセットの方が
僅かに速度が乗り、結果として176km強はマーク。

しかし残された時間はもう少なくなっており、
気が付けば計測時間が終了。
今回は残念ながら180kmの壁は越えられない結果と
なってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

【⑦開催当日:走行終了〜反省】

 <反省点1>0010.jpg
今回の反省点は、先ずエンジン回転についてです。
ライダーに的確な指示をできず、ギリギリまで回して
しまったことでレブリミッターが効いてしまい、
逆に加速が鈍化してしまいました。
ツインの場合マルチとは異なり、走行中に気が付かず
ついうっかりレブしてしまうことも影響しています。
前回の走行までは、レブギリギリまでは回らない
エンジン特性だったためこのことには
気が付きませんでしたが、これは大きな反省点です。


Dyno上ではパワーカーブが落ち込んでいなくても、
実走では加速が鈍化してしまうため、
シフトアップ回転数の見直しや、
それに合わせたファイナルのロング化等・・・
次回チャレンジへの課題が残りました。

 

 

<反省点2>
水温管理については針式のメータは結構曖昧で、

0011.jpg事前に正確なデータを取っておくべきポイントでした。
同様に小径のタコメータについても、
マシンギリギリまで伏せている状態ではメータが
見づらいため、次回は視認性の良いメータを追加を
検討中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【⑧Next Action】

次回開催までの期間は、FSWでいくつかの

0012.jpgデータ取りを行う予定です。
既に今回の走行からA/F計でDATAを取り始めて
おり、追加で回転数、水温などを計測予定です。
先ずは非公式で180kmの壁を越えられるよう、
現在バルブタイミングやインジェクションセッティング
等を、再度調整中です。

なお、同時にストリートでの使いやすさや面白さへの
フィードバックするため、
ストリート仕様のNinja250も鋭意製作中です。

こちらのマシンは最高速チャレンジのマシンをベース
に、耐久性や環境面への十二分な配慮を施した仕様
で、近日こちらのコーナーで連載を開始予定です。
またオイルやタイヤ、サスなどエンジン以外のパート
についても随時テスト報告を行っていきます。
ご期待ください。

 

 

 

 【ライダー紹介】

<大石選手プロフィール>

0013.jpg■MFJロードレース国際ライセンス ■MFJロードレースインストラクター
■出身:静岡県東京都在住44歳  ■好きなバイク:'88GSXR1100
■好きなサーキット:鈴鹿、SUGO

<主な戦歴>
■1987筑波でサーキットデビュー
■1988〜1992 SP400クラス、SP250Fクラスに参戦
■1993国内A級昇格
■1995国際A級昇格
□'91ZXR750にて全日本選手権スーパーバイククラス参戦(スポット)富士、SUGO
□エリア選手権SS750クラス富士、SUGO
□全日本最高位決勝19位(MFJグランプリ)
■1996〜1997
□'91ZXR750(96年)、'94ZXR750 (97年)にて8耐参戦(1997年:予選63位、決勝46位)
■1999〜2006
□'91ZXR750〜'01GSX-R1000〜'03GSX-R1000にて、
 もて耐参戦、最高位/決勝6位(2004年)


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