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制作日誌

Microlon 処理お見せします

【特別編】東京工専 自動車部 マイクロロン使用レポート

2011.04.20


東京工業高等専門学校 自動車部が第30回本田宗一郎杯Honda エコ マイレッジ チャレンジ出場の際に、ドクターSUDAもマイクロロンで応援をしました
自動車部長の泉さんが、作業内容のレポートをまとめてくれましたので、皆さんにご紹介したいと思います。

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マイクロロン使用レポート

東京工業高等専門学校 自動車部
泉 侃人


今回、私たちはモーターサイクルドクター須田様、協和興材様にご協力頂き、メタルトリートメントリキッド及びアッセンブリールブリカントをエコランの出場車両に使用することができました。
マイクロロンを使用することにより、エンジンだけでなく、タイヤのハブや駆動部品、変速装置にも使用し、各部において変化を体感することができました。

初めに、脱脂しただけのベアリング、メタルトリートメントリキッドのみを使用したベアリングと、アッセンブリールブリカントのみを使用したベアリングを指で回転させて比較しました。
脱脂をした後、何も塗布されていないベアリングは辛うじて回転させることが出来る程度でした。
メタルトリートメントリキッドのみを使用した部品は、脱脂しただけのもと見た目は変わらないものの、スムーズに回転させることが出来ました。オイルやグリスを使用せず、メタルトリートメントリキッドのみを使用したため、回転はとても軽いものでした。
アッセンブリールブリカントのみを使用したものは、メタルトリートメントリキッドのみの物と比べて回転が若干重くなったものの、メタルトリートメントリキッドを使用した部品よりもしっかりとに潤滑されてる印象を受けました。
これらの事を踏まえてメタルトリートメントリキッドのみを塗布する部品と、アッセンブリールブリカントを併用する部品に分けました。

どの部品も一度分解、洗浄を行い、組み付け時にメタルトリートメントリキッド及びアッセンブリールブリカントによる処理を施工し、エンジンオイルにはメタルトリートメントリキッドを混合しました。
須田社長からの指示通り、部品を温めてから塗り込み、乾燥を数回行ないました。
このとき、初めうちは部員も作業に慣れず、部品を温めすぎて火傷しそうになったり、塗り込む時に手間取って部品が冷めてしまうなど、試行錯誤しながらの処理でした。大きな部品で練習した後は作業に慣れてきて、小さな部品にも手際よく処理していくことが出来るようになりました。
アッセンブリールブリカントを塗布する際には耳かきを、メタルトリートメントリキッドではスポイトを使用しました。ベアリングボールなど、細かな部品にも確実に塗りこめるように工夫しました。

車輪のハブのベアリングにはメタルトリートメントリキッドのみを使用しました。
もともとシールドベアリングだったので、今回はシールを剥がして処理を行ないました。(図1)

m_report01.jpg
図1 車軸にメタルトリートメントリキッドを塗布

ハブの処理が終わり、試しに空回りさせてみるといつまでも回り続け、部員も驚いていました。この部品は、アッセンブリールブリカントを併用するべきか悩みましたが、大会終了後もメタルトリートメントリキッドのみで潤滑が出来ていたようなので安心しました。
この部分に使用するマイクロロンの種類は、今後も検討したいと思います。

駆動部品である自転車用の内装ギアには、元々大量のグリスが付いていました。(図2)

m_report02.jpg
図2 分解直後の内装ギア

この時、金属トレイの上に部品を並べ、ヒートガンである程度まとめて加熱し、そこにアッセンブリールブリカントを塗布しました。加熱する部員と塗りこむ部員に別れて作業をし、手際よく作業できるように工夫をしました。(図3,4)

m_report03.jpg図3 加熱中の内装ギア


m_report04.jpg図4 内装ギア軸にアッセンブリールブリカントを塗布

アッセンブリールブリカントを塗布することにより、スムーズな変速が行えるようになりました。この部分に元々付いていた大量のグリスのかわりに、少量のアッセンブリールブリカントで済んだことも軽くなった要因であると考えられます。当初付いていたグリスと比べて、少量のアッセンブリールブリカントを塗布した部品が正常に機能するか心配する部員もいましたが、動作を確認した際、これも塗布以前よりスムーズに動作されることが確認できました。

チェーンには、以前はエンジンオイルを潤滑剤に使用していましたが、それを完全に取り除いた後、加熱後にメタルトリートメントリキッドを塗布しました。シールレスタイプのチェーンなので、十分に加熱を行うことが出来ました。数回加熱と塗布を繰り返すと、脱脂直後の動作の軽さを保ちながら、十分に潤滑されていました。

駆動部品の施工を行った部員は、「ベアリングやチェーンに関しては、動かしたときに明らかに違いがわかりました。特に一番驚いたのは、やはりホイールのハブに使用したときの違いです。使用する前より、回転スピードが緩やかに落ちるようになっていることが分かり、ハブの本来の性能を出せるマイクロロンはとてもすごいものだと思いました。」
と語り、とても好評でした。

エンジンではカムやクランクのベアリングの他、ロッカーアームシャフトやピストンリング、カムチェーンなど、すべての摺動部にマイクロロン処理を施しました。(図5,6,7,8)
クランクベアリングでも、ハブベアリング同様に、アッセンブリールブリカントを併用するか悩みましたが、今回は併用することにしました。
 
m_report05.jpg図5 脱脂中のエンジン部品


m_report06.jpg図6 バルブステムにアッセンブリールブリカントを塗布

 
m_report07.jpg図7 クランクベアリングにアッセンブリールブリカントを塗布


m_report08.jpg図8 クランクベアリングにメタルトリートメントリキッドを塗布

エンジンオイルとして、メタルトリートメントリキッドをホンダG4(0W-30)に対して10%混合したものを使用しました。メタルトリートメントリキッドを多めに混ぜたことにより、オイルの消費が多くなることが考えられたので、オイル量を常に監視できるようにクランクケースを改造しました。
組み上げ直後の慣らし運転では変化が見られませんでしたが、しばらくするとオイルが減り、アイドリングの回転数が上がって行きました。
適宜オイルを継ぎ足し、アイドリング回転数を調整して慣らし運転を続けると、30分ほどでオイル量、アイドリング回転数ともに安定するようになりました。
この時、以前と同じアイドリング回転数を保つために必要なアクセル開度が従来より少なく済むようになり、冷間時の始動も従来よりしやすくなりました。また、作動中の振動や内部のメカニカルノイズも低減しました。

今後は、エンジン内部の改良や、車体の再設計など、燃費の向上が出来るように活動を進めていきます。その中で、マイクロロンが力を貸してくれると考え、マイクロロンの効果をより発揮できるようにマイクロロンの特性を研究したいと思います。


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