2014.04.14
今回がはじめてのこの企画はゴールデンウイークがもうすぐというこの季節に
最近たくさん走っていないライダーや、そろそろまた乗ってみようかなというリターンの方、
そしてこれから免許を取得してとお考えの未来のお客さまに捧げます。
元気を出して、 さあ走ろうと気合を入れて、心の底からオートバイを楽しんでください。
ドクターSUDAはその皆様と進みます。それではスタート。
S氏、男子。横浜市泉区在住。
身長173cm、体重80kg。温厚(?)。
仮面ライダー好き。
心の底からバイクが好きな55歳である。
今回を第一回とするこの企画、トッブバッターをS氏にお願いするに
少しの迷いもなかった。オートバイに乗ることが大好きなお客様の
代表的な存在であり、その病と言えば言葉が過ぎるかもしれぬがドク
ターSUDAが見てもこのバイク好きはかなり重篤なものである。
そんなS氏の運転免許歴は昭和57年8月中型二輪免許を取得するにはじまり
その後昭和63年11月に限定解除となる。(大型二輪免許)
(若者のために説明しておくがひと昔前、いやほんのちょっと前までおじさん
たちが若かった頃は普通二輪免許は中型二輪限定免許となっており、まず
これを取って大垂水峠に通い、その後大型二輪に乗るためにはこの限定を
解除する実技試験を受けた。まさに今の大型二輪試験なのだが、これを「限定解除」
という。現代のように教習所で免許を取得できる時代ではなかったので
平均10回以上とも言われた難関試験を通過し最後に栄光を勝ち得たものである。
故に、この時代のおじさんたちは皆「限定解除」には最大級の誇りを持つのである。
であるからして二輪乗りの酒の席で先輩が若者に大変な苦労をして大型二輪免許を
取得したものだと、鼻たからかに声を上げるのだ。)
余計な解説はさておき、
意外にも中学、高校とバイクに全く興味のなかったS氏はいわゆる遅咲きである。
学生かばんにモーターサイクリスト誌かオートバイ誌といった我々がそうだった
正統派の学生?とは少し様子が違ったようだ。真面目一本の勤勉な学生さん
であったに違いない。
車暦は、XL125、GB250クラブマン、GB500TT、CBX750ホライゾン
FJ1100、VFR800、SEROW250、D-TRACKERーX、Versys、Versys1000
と続き現在はそのSEROW250、Versys,Versys1000の3台を保有しどれも順調に
オドメーターを進めている。
オートバイで初めて走った思い出などをうかがうと、
XL125で全開した時の気持ちよさは今でも新鮮であり、
250ccに乗り換え初めて富山までの初高速道路ツーリングが楽しかった。
そう語る氏の笑顔に現在のツーリングスタイルの原点がはっきりと見えた。
やはり走ることが本当に好きなのである。
ドクターSUDAとの出会いは1993年6月、S氏がFJ1100の時代に遡る。
その赤い糸のはじまりは弊社社長須田高正がモーターサイクリスト誌に
毎月レギュラーで寄稿していた「メカニックトーク」(二輪の修理を
文字にして見せ、メカニックの見地から修理のノウハウを書いたページ
がそれである。)の読者であったという関係から。懐かしく良き時代の
出会いに感謝感謝でありさらにはこの関係が20年もの間続いたことにまた
感謝である。このFJ1100も後にエンジンのフルオーバーホールをご依頼いただき
珍事連発の作業になった。これはまた別の機会にお話するが我々の記憶にも
はっきりと残る1台である。
そして現在S氏のFJ1100からはじまりベルシス1000まで全車両の
合計走行距離は40万キロを超えた。
20年、40万キロのお付き合いということになる。
凄いという以外は言葉が見つからない。
最近ではS氏、皆様もご存知のKawasakiが主催するチャレンジクルーズ(3ヶ月間で
排気量別に走行距離を競うコンテスト。総走行距離と順位、担当店名が
カワサキのKAZEクラブ会員の会報誌に掲載される。)に常にエントリー
し、2012年の1stステージでは14,319kmで見事1位を獲得した。マシンは
ベルシス650.もちろんこの回以外でも上位の常連であることは言うまでも無い。
ここで名の知られたS氏のことをよくお客様や関係者から問われるのだが
ご本人の名誉のために加えると3ヶ月でこの距離と言っても仕事をしていない
わけではない(笑)。
会社を長期休業している最中でもない。
S氏の休日を費やしたアタックでなのである。
そしてどんなに長距離を走行した後でもS氏のルールにお疲れ休みは無い。
忙しくて乗る暇がないとお嘆きの諸兄、是非参考にしてはいかがか。
実は今回このインタビューに登場していただいた理由に最近S氏の1年5ヶ月間に
渡るプロジェクトが終了したことも理由の一つで、
それは2012年5月から2013年9月に「Versys(ベルシス)シリーズ
(650と1000)で巡る東北六県 道の駅 完全制覇の旅」と名づけられた
東日本大震災による東北地方応援の旅がある。
東北六県の道の駅全てをスタンプラリー帳に収める気の遠くなるような
プロジェクトであった。この旅でベルシス650の総走行距離は13,828km、
ベルシス1000の総走行距離は10,043kmを走り休日を費やしたのは1年5ヶ月、
ベルシス2台の総走行距離はなんと23,871kmにおよんだ。
さらにはこのプロジェクト中に2車のオドメーターの合計が100,000kmを超え
てしまったという。
んーっ、よくよく考えると特にベルシス1000はついこの間
ご購入いただいたものと私は記憶していたのに。
社長も「天晴れ!」と声が大きくなった。
スタンプ帳には道の駅のスタンプがびっしり。
旅が終わりこのインタビューをお願いしたときにS氏は資料を製作してくれた。
そしてS氏が選んだこの旅の思い出のショット BEST3.
遠野、大船渡、栗原より
2012年9月28日
道の駅 高田松原 にて
大震災にてこんな状態に
津軽、十和田より
2013年5月18日
国道454号線から岩木山を望む
絶景です(大鰐町)
津軽、十和田より
2013年5月19日
外ヶ浜町平舘不老ふ死温泉にて
下北半島を染める朝焼け
ご覧いただいている皆様はどうしてその合計距離を明示できたり、
日付が正確に記されているか疑問になられたことであろうがそれはここで
お見せするが氏が自ら綴っている愛車のノートからいつでも調べることができるのだ。
日付、時間、走行距離をはじめ有料道路の領収書、食事の箸袋のスクラップ、
コメント、道路状況、ほか盛り沢山な情報の数々。そして、特筆すべき点は
整備についてはもはやこれはメンテナンスノートのレベルを超えている。主人公が
オートバイであり、その車両に関わる全整備情報がノンフィクションの
ストーリーとしてここに封じ込まれている。勿論弊社のカルテと寸分の違
いも生じることがない。いつどのような整備を行ったかは一目瞭然だ。
今後また車両をお買い替えいただくときにもこのノートは思い出を綴ったノート
というだけではなく車両別に比較のできる有効な資料となることは間違いない。
エンジンオイル交換、ドライブチェーンの調整給油、タイヤの空気圧
など、この基本点検はどれも定期的に欠かすことは無い。
法定点検も車検のためだけにあるわけではない。距離を走るからこそきちんと
定期的に作業をご依頼いただく。この距離を走行するとその意味が沁みるほど
わかるものだ。メンテナンスには気を抜かない。S氏はとにかく真面目だ。
これが弊社自慢のお客様の作業伝票ファイルである。いわばカルテ。
S氏の場合、2005年1月のVFR800の新車整備から2013年11月ベルシス1000の
ヘッドライトバルブの交換作業までがある。
S氏のファイルはすでに「百科事典サイズ」であるのだがこれでも全てではない。
現所有車両の分が入りきらなくなるのですでにお持ちで無い車両の分を一部ファイル
から外してある。この厚みの中にはタイヤのエアを調整するだけにご来店いただいた
以外の弊社で行った作業は全て記録として残っている。
そして弊社佐々木とのやり取りやメカニックのコメント、またお支払の記録も(笑)。
この百科事典には命のかかった乗り物に自ら運転して出かけるS氏の安全に
対する「当たり前」が詰まっているのだ。
そしてその通りS氏にはツーリング最中のトラブルは無いに等しい。
金城鉄壁な準備があるからこそロングツーリングに望めるのである。
インタビューの日はS氏には遅くまでお付き合いいただいた。
東北楽天ゴールデンイーグルスがロッテとクライマックスを争っていた夜でもあり、
インタビューが終了した時にはまさに9回表がはじまろうという時で、S氏は
大好きな東北を応援していた。数分後には田中投手が日本シリーズ進出を決めたのだ。
東北東北と通い続けたS氏にいい思い出がもうひとつできた夜である。
さて次は「日本秘湯を守る会」の宿を巡るスタンプラリーと眼を輝かせておっしゃって
いた。きっとまた走行距離が増えるな。
この後東北楽天ゴールデンイーグルスは日本一となった。
SUDAのチャンピオンもまた次のチャレンジクルーズを狙っている。
おひとがら
S氏との記事製作のためのメールラリー
Q:2012年〜13年の東北六県道の駅めぐりの走行合計距離を教えてください。
A:元気ですか?ご参考までに2012年〜13年の東北六県道の駅めぐりに要した走行距離
を申し上げます。
650=約13,828km
1000=約10,043km
合計=約23,871km
Q1:ツーリング出発前のゲンカツギなどあれば教えてください。
Q2:仮面ライダー好きとおっしゃっていましたが仮面ライダーのどこが好きですか?
A1)ゲン担ぎとして出発前日の夕食をちょっと奮発することがあります。
例えば、サーロインステーキやちょっと高めの刺身定食を食べたりしています。
A2)仮面ライダーはリアルタイムで時々観ていました。当時は佐々木剛さんの
旧2号編でしたがやはり藤岡弘、さんが1号ですからね。実は藤岡さんの
ファンクラブ会員でして(笑)、旧1号編の改造人間となった悲しみを誰にも言えず
ひとり苦悩しつつ悪と戦う姿に共感しています。
Q1:チャレンジクルーズで1位を獲得したのはいつだったでしょうか?
Aお世話になっております。お尋ねの件ですが2012年の1st stage にて一位となり距離
は14,319kmでした【マシンは650】。
ですから一位を知ったのは6月発行のKAZEです。
S氏のツーリングは早朝(夜中)出発が多い。
午前2時、3時の出発は当たり前。気合が入るそうだ。
その出発を自ら「スクランブル」とおっしゃる。
S氏が撮影したツーリング先でのスナップ
1 「遠野 大船渡 栗原」 より 2012年9月撮影
遠野「かっぱ淵」にて
気仙沼にて
陸に上がってしまった「第18共徳丸」です
栗原市の新湯温泉 くりこま荘にて
2 「女川」 より 2013年3月撮影
被災した大川小前にて
丁度雪がちらついていて悲しみを増幅させました
南三陸町 防災対策庁舎前にて
気仙沼 琴平神社前にて
僅か数百メートル手前まで津波に襲われましたがここは無傷!奇跡のスポットです
女川町中心部にて
石巻市 門脇小前にて
校舎は被災したものの校庭で元気よく野球する姿に元気をいただきました
3 「津軽 十和田」 より 2013年5月撮影
八幡平アスピーテラインより岩手山を望む
快晴だぁー!!
八幡平アスピーテラインの雪壁
津軽線 三厩駅にて
今回は昨年に取材をしておきながら理由があり掲載までに時間をいただきました。
取材時は長時間お付き合いをいただいたS氏に大変に感謝しております。
今年もきっとたくさんお出かけになるのでありましょうが充分にお気をつけて
お出かけください。
ツーリング先でS氏を見かけたらご遠慮なくお声をかけてください。
きっといい情報交換ができますから。
オートバイ万歳!
須田高久
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SUZUKIファンはこちらもご覧ください。ドクターSUDAのスズキバイクショップページ
ホームページに掲載前の予告など早めにご覧いただけますので是非こちらもご覧ください。